Pulse: Imitate, Observe, Deconstruct is a live performance featuring two real jellyfish, two holographic jellyfish, and a human performer.
本作品は、2 匹のリアルクラゲと 2 匹のホログラムクラゲ、そして 1 名の⼈間パフォーマーによって構成されるライブ・パフォーマンスである。6 億年もの間、シンプルかつ巧妙な仕組みで拍動を刻んできたクラゲをモチーフに、その拍動リズムをリアルタイム
で⾳楽化すると同時に、AI が模倣するホログラムクラゲの拍動までもリアルタイムで検出し、⼀つのサウンド空間へと統合する。この「⽣物̶ 機械̶ ⼈間」が共存する不思議な光景こそが、本作品の中核である。

リアルクラゲに関しては、⽔槽内の映像をカメラで取得し、TouchDesigner や OpenCVなどの技術を⽤いて拍動のタイミングを検出する。その検出した解析データが OSC を介して Max for Live へ送られ、⾳をトリガーしたりエフェクトを制御したりすることで、クラゲの拍動がそのまま⾳楽の構成要素になる。⼀⽅のホログラムクラゲにおいても、クラゲの拍動パターンを深層学習によって模倣・⽣成し、同じ⾳響システムに反映させる。「本物のクラゲ」と「仮想のクラゲ」は、いずれも⽣きたリズムとしてパフォーマンスの中で並列に扱われる。こうした仕組みの背景には、「Pulse: Imitate, Observe, Deconstruct」という核⼼的なテーマが存在する。リアルクラゲは、最もシンプルで完結した神経構造を持ち、その「拍動」という動きを中⼼に独⾃の環世界(Umwelt)を形成している。本作品では、そこにAI テクノロジーを⽤いたホログラムクラゲを加えることで、機械と⽣物のリズムをどのように⼈間が解釈し、サウンドやライティングとして再構築し得るのかを追究している。
⼀⽅で、現代のバイオアートやサステナブルなエコロジー表現は、⾃然を神秘的もしくは⼿つかずの世界として扱う傾向が強い。しかし、⾃然を翻訳する⾏為にはしばしば⼈間の都合や暴⼒性が潜みがちである。本作品では、その翻訳⾏為に内在する⼈間中⼼主義をあえて強調し、リアルクラゲとホログラムクラゲが同列に並べられる状況を提⽰する。その結果、鑑賞者は本物と模倣を曖昧に感じたり、ホログラムさえ「かわいい」「飼ってみたい」と思ったりするかもしれない。こうした愛玩の感覚こそが、⾃然を所有物として扱う欲望や都合を如実に⽰すという問いを突きつける。
さらに、クラゲの拍動を⾳響化する過程では、あえてノイズやグリッチを取り込み、単に⼼地よい響きに留まらず、⼈間の解釈や技術と⾃然が衝突するビートや不協和⾳を意図的に浮かび上がらせている。私たちが「エコロジー」や「ヒーリング」という⾔葉で⾃然を賛美するとき、その裏には⼈間の倫理や美意識が投影されているかもしれない。
クラゲ側から⾒れば、果たしてそれは本当に優しい⾏為なのか。こうした疑問が、本作品の中で⾃然に⽣じるように設計されている。
このような視点から、⼈間・⽣物・AI の三者それぞれが奏でるリズムを、⾳楽表現として再解釈するのが本パフォーマンスの中核である。2 匹のリアルクラゲが⽣み出す拍動と、2 匹のホログラムクラゲが模倣する拍動が、⼀つのサウンドシステム上で衝突し、ときにはシンクロしながら、多様な⾳響を⽣成していく。中央に配置された⼈間パフォーマーは、それらのリアルタイムの拍動を取り込みつつ、⾃⾝のビートを重ね合わせ、あえて違和感やズレを強調することで、新たなリズムの可能性を探る。しかし、クラゲ由来の⽣体リズムやホログラムのアルゴリズムは、必ずしも⼈間の思惑どおりには動かないため、思わぬ⽅向に⾳楽が変容していく場⾯も多い。このように“制御”と“逸脱”が交互に繰り返されるプロセスこそが、「Non-human centred technology」(⾮⼈間中⼼的なテクノロジー)の可能性と⽭盾を、ステージ上で直接体感させる仕掛けとなっているのである。
また、本作品はクラゲの拍動を美しさや癒やしといったイメージに閉じ込めるのではなく、⼈間が介⼊し、翻訳し、都合よく解釈する⾏為そのものを⾒つめ直すことを重要視している。エコロジーという⾔葉が喚起するポジティブなイメージは、しばしば⼈間⾃⾝が⽣み出したそれっぽい概念にすぎず、⽣物学的・倫理的な正当性をどこまで担保しているかは不透明だ。むしろ、そのエコロジー観を振りかざすこと⾃体が、別の形の暴⼒ではないかという問題提起でもある。
総じて、本作品では⾃然由来の拍動(クラゲ)と⼈間の技術(AI ホログラム)が同列に扱われ、観る者に「⾃然とは何か」「模倣された⽣命をどう受け⽌めるのか」「愛玩や
所有欲はどのような暴⼒性を伴うのか」という問いを投げかける。純粋なエコロジー賛美でも、テクノロジー礼賛でもない、スペキュラティブな⾳楽表現として鑑賞者の価値観を揺さぶる場をつくることこそ、本作品の⽬指すところである。
Director : Sogen Handa 
Original Ideation, Co-Director : Kenshiro Taira

Technical Director : Sogen Handa
Production Manager : Kenshiro Taira
Stage Director, Sound Designer : Nimisha Anand
Production Designer, Installer : Risako Shibata
System Engineer : Sogen Handa
Sound/Lighting Design and Programmer : Sogen Handa
Aquarium Designer, Installer : Kenshiro Taira
Special Thanks : Keio University SFC x-Music Lab(Shinya Fujii Lab)

The work has also received supervision from Dr.Sho Toshino, Senior Researcher at the Kuroshio Biological Research Foundation(Japan) to ensure the jellyfish were handled in an ethical, and harmless manner.